1棟アパート投資とは?区分マンションとの違いを徹底比較を読み解く

WELLSTAR AGENCY COLUMN

「区分を3戸持っているが、月のキャッシュフローが合計で2万円しか残らない」──そう打ち明けてきたのは、埼玉県在住の会社員Sさん(44歳)だった。利回り表面6%台の物件を3戸購入し、管理費・修繕積立金・ローン返済を引いたら手元にほとんど残らない。1棟ならもっと効率が良いのではないか、という相談だった。この問いに答えるには、両者の構造的な違いをきちんと整理しておく必要がある。

1棟アパートと区分マンション、収益の作り方が根本的に違う

区分マンションは、大きな建物の一室を所有する形態だ。土地持分は建物全体の持分比率に応じた微少な面積しか得られない。一方、1棟アパートは土地と建物のすべてを自分が所有する。この違いは「融資評価」「管理権限」「出口戦略」の3つに直結する。

融資評価の面では、金融機関は土地を担保として強く評価する。区分の場合、土地持分が小さいため担保価値が出づらく、フルローンを引こうとすると金利が高くなるか、融資そのものを断られるケースが増えている。1棟アパートは土地ごと担保に取れるため、地方銀行・信用金庫でのアパートローンが通りやすく、期間25〜30年の融資が現実的になる。

管理権限については、区分マンションには管理組合が存在し、外壁塗装や共用部修繕のタイミングを自分で決められない。修繕積立金が積み上がっていない物件では、大規模修繕時に一時金を請求されることもある。1棟アパートなら修繕の判断も費用の計画も自分の裁量で動かせる。

表面利回りの数字をそのまま信じてはいけない理由

区分マンションの販売資料でよく見る「表面利回り6〜7%」と、1棟アパートの「表面利回り8〜10%」を単純に比べると、1棟の方が明らかに優れているように見える。だが手残りキャッシュフローで比較すると、話は変わってくる。

1棟アパート(木造・地方都市) 実質利回り約6.2%
区分マンション(RC・都市部) 実質利回り約3.8%
1棟アパート(木造・都市近郊) 実質利回り約5.0%
区分マンション(新築・都市部) 実質利回り約2.1%

実質利回りとは、年間賃料収入から管理委託費・固定資産税・火災保険・修繕費の実績平均を引いた後の数字を取得価格で割ったものだ。区分マンションは管理費と修繕積立金が毎月かかる上、空室時の機会損失が1戸単位で100%になる。1棟アパートは8戸あれば1戸空いても空室率12.5%にとどまり、収入の安定性が全く違う。

ランニングコストの内訳比較

項目 区分マンション 1棟アパート(8戸・木造)
管理費・修繕積立金 月1.5〜3万円(管理組合へ) なし(自己保有)
管理委託費(賃貸管理) 賃料の5〜8% 賃料の5〜8%
修繕の自己負担タイミング 管理組合決議に依存 オーナー判断で計画できる
空室リスクの影響 1室で収入0になる 他戸の家賃が補完
火災保険 専有部分のみ・安価 建物全体・年10〜30万円
固定資産税 低め(持分が少ない) 土地込みで高め

融資で明暗が分かれる:金融機関の本音

年収1,000万円を超える会社員や経営者が区分を複数保有すると、ある段階で「融資残高が年収の10〜15倍を超えている」と判断され、新規融資を断られるケースが出てくる。これは、区分マンション特有の問題だ。収益性が低い物件にローンを積み上げてきた結果、担保評価と融資残高のバランスが崩れている。

1棟アパートを取り扱う地方銀行や信用金庫は、物件の収益性と担保評価を総合的に見る。木造アパートは法定耐用年数22年に対し、築20年を超えると融資期間が短縮されるデメリットがあるが、逆に言えば築浅・好立地の物件であれば長期・低金利の融資が引きやすい。

25〜30年
1棟アパート融資の一般的な期間
15〜20年
区分マンション融資の一般的な期間
約28%
区分マンションの担保評価に対する減額幅の目安

融資期間が長いほど月々の返済額が下がり、キャッシュフローが改善する。この構造的な差は、手残り額に直接影響する。自分が今どれくらいの規模の物件を購入できるかは、1棟投資 購入力診断で30秒程度あれば大まかな目安が出る。属性と現在の借入状況を入力するだけだ。

現場で見た二つの判断──成功と失敗を分けたもの

横浜市港北区で1棟木造アパートを保有するA氏(52歳・IT系会社経営・妻と子2人)の話は、参考になる。A氏が取得したのは築17年・8戸・価格8,500万円・表面利回り8.4%の物件だった。エリアは横浜市営地下鉄沿線から徒歩7分圏内で、単身者需要が安定している。地方銀行から25年・金利1.7%で融資を受け、月の返済額は約36万円。満室時の賃料収入は月59万円で、管理委託費・保険・固定資産税を引いた実質の手残りは月13〜15万円程度で推移している。

購入から4年が経過した現在、A氏がもっとも評価しているのは「修繕を自分のタイミングで動かせること」だという。取得から2年後に給湯器を一斉更新し、費用を経費計上しながら入居者の満足度を高め、退去率を抑えた。区分マンションを2戸保有していた時期には、管理組合の決議待ちで修繕が動かず、入居者が退去した苦い経験があった。

「区分は自分が決められないことが多すぎた。1棟は面倒も多いけど、全部自分でコントロールできる分、結果に責任が持てる」

A氏・52歳・会社経営

一方で、失敗に近い判断をした事例もある。大阪市淀川区で1棟RCマンションを購入したB氏(47歳・製造業・会社員・共働き夫婦)は、築32年・12戸・価格1億2,000万円・表面利回り9.1%という数字に惹かれた。融資は短期間しか引けなかった(残耐用年数8年に対して10年融資)ため、月の返済額が高くなり、実質キャッシュフローはほぼゼロだった。さらに購入から1年半後に外壁の大規模修繕が必要になり、見積もりは1,400万円。手元資金を大幅に削り、追加融資の交渉に半年を要した。

B氏の誤算は利回り数字だけで判断し、築年数と融資期間の関係を精査しなかった点にある。RC造の場合、法定耐用年数47年に対し築32年であれば残年数15年。金融機関は残耐用年数を軸に融資期間を設定するため、月々の返済負担が重くなるのは構造上の必然だった。表面利回りが高い物件ほど、なぜ高いのかを逆算する習慣が欠かせない。

出口戦略の現実:売りやすい物件・売りにくい物件

不動産投資は保有中のキャッシュフローだけでなく、売却時の値段も含めた「トータルリターン」で評価しなければならない。この観点から見ると、区分マンションと1棟アパートはまた異なる性格を持つ。

区分マンションは実需(自己居住目的)の購入者にも売れるため、流動性が比較的高い。ただし投資目的で購入した場合、収益還元で評価されると実需価格を下回ることが多い。特にワンルームマンションは、実需ニーズが限られるエリアでは売却先が「次の投資家」に絞られ、高値での売却は難しくなる。

1棟アパートの売却先は基本的に投資家だ。買い手は利回りで値段を計算するため、賃料が維持されていれば収益性から逆算した価格がつく。逆に空室が多い状態や修繕未実施の物件は大きく値引きされる。出口を意識した保有管理──空室を長引かせない、設備の寿命管理をする、という積み重ねが売却価格に直結する。

1棟アパートの出口価格は「保有中の管理品質」がそのまま反映される。空室率と修繕履歴は、売却時の査定で必ず開示を求められる数字だ。

また、1棟アパートは「土地値」という下限ラインが存在する。建物が古くなっても、立地と土地面積によっては更地・建替え需要で一定の評価が担保される。区分マンションにはこの土地値下限が機能しにくい(土地持分が微少なため)。長期保有を前提とするなら、この違いはリスク管理として無視できない。

どちらを選ぶべきか──属性と目的で答えは変わる

年収800万円以上の会社員や経営者が不動産投資を始める場合、区分マンションから入るルートはかつてよりも選択肢として弱くなっている。新築ワンルームは利回りが低下し、中古区分は融資条件が厳しい。一方で1棟アパートは、物件選定の手間と初期投資額の大きさがハードルになる。

整理すると、こういう見方ができる。自己資金1,000〜2,000万円程度を用意でき、初期から月5万円以上のキャッシュフローを安定させたいなら、都市近郊の木造アパート(1棟・6〜10戸・5,000万〜1億円帯)が現実的な選択肢になる。自己資金が少なく、まず不動産投資の感覚を掴みたいなら区分から始めることにも一定の意味はある。ただし「区分を積み上げれば1棟と同じ」という発想は危険で、融資残高が膨らむにつれて次の手が打てなくなる。

1棟投資への切り替えを検討する際には、現在の借入状況・年収・自己資金・保有物件の評価を整理してから動く必要がある。はじめての1棟投資 無料相談では、個別の財務状況を踏まえた具体的な規模感の話ができる。一般論ではなく、自分の数字に落とし込んだ議論が出発点になる。

木造か、RCか──構造の選択が戦略を決める

1棟アパート投資を始める際に避けられない選択が「木造か鉄筋コンクリート(RC)か」だ。この二択は単なる建物スペックの話ではなく、融資・減価償却・維持費・出口という4つの軸で戦略全体に影響する。

木造とRCの選択基準

比較項目 木造アパート RC造マンション(1棟)
法定耐用年数 22年 47年
減価償却の速さ 速い(節税効果が早期に出やすい) 遅い(長期にわたり安定)
取得価格の目安 6〜10戸で4,000万〜1億円 10〜20戸で1億〜3億円
融資期間 築浅なら25〜30年可 残耐用年数による・新築なら長期可
修繕コストの傾向 部位ごとに小まめに発生 大規模修繕が高額になりやすい
遮音性・入居者属性 低め・単身〜DINKS向け 高め・ファミリー層も対応

年収1,000万円前後の会社員が節税を意識して投資を始める場合、木造の減価償却速度は魅力的に映る。だが築古木造をフルローンで取得し、減価償却期間終了後に税負担が急増するという「減価償却切れ問題」は現場で繰り返し見る落とし穴だ。減価償却が終わった時点で売却するか、次の物件を取得するかという出口シナリオを最初から設計しておくことが求められる。

RCは遮音性・耐久性が高く、ファミリー層や長期入居者を獲得しやすい半面、取得価格が高く初期資金のハードルが上がる。B氏のケースのように築古RCは融資期間が短くキャッシュフローを圧迫しやすいため、RC1棟を狙うなら「築浅・好立地・適正価格」の三条件を崩さない選定が求められる。

区分マンションを保有してきた投資家が1棟に移行するとき、最初にぶつかるのは「規模感の違い」だ。区分1戸の意思決定と、数千万〜1億超の物件を判断する重みは全く異なる。だが構造を理解し、現地と数字を丁寧に見れば、その判断は難しいものではない。

あなたの手元にある資金と今の融資状況で、どの規模の1棟投資が現実的に動かせるか──一度、自分の数字を整理してみることから始めると、次の一手が具体的に見えてくる。

株式会社ウェルスターエージェンシー監修株式会社ウェルスターエージェンシー投資用1棟収益物件に特化した不動産仲介・コンサルティング会社。CF・IRR・DSCRを重視した数値ベースの投資判断と、融資戦略・出口戦略まで一貫して支援。東京都中央区に拠点を置き、首都圏・名古屋・関西圏の投資家へのアドバイザリー実績多数。宅地建物取引業免許 / 東京都知事(4)第92706号公式サイト wellstar-agency.com →

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配信: 株式会社ウェルスターエージェンシー

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