WELLSTAR AGENCY INVESTMENT COLUMN
不動産という高額な資産を扱う上で、私たちは常に「この物件の適正価格はいくらなのか?」という問いに直面します。市場価格(実際に取引される価格)が需要と供給で決まるのに対し、建物の持つ物理的な価値を客観的に評価する指標が「再調達価格」です。
特に銀行融資を利用して物件を購入する場合、この再調達価格を知っているか否かで、資金調達の成否が分かれると言っても過言ではありません。本記事では、プロのエージェントが実務で活用している「再調達価格」の考え方を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
1. 再調達価格(再建築価格)とは何か?
再調達価格とは、端的に言えば「今、対象の建物と全く同じものを、同じ構造・仕様で新築した場合に必要となる建築費」のことです。別名「再建築価格」とも呼ばれます。
建つ物件が古くなればなるほど、市場での価値は下がっていくのが一般的ですが、その「減価」を計算する前の、いわば「建物の定価」としての役割を果たします。
なぜ再調達価格が重要なのか
主に以下の3つの場面で、再調達価格の概念が必要となります。
- 積算評価(銀行融資)の算出: 銀行が物件の担保価値を計算する際、この価格をベースにします。
- 火災保険の契約: 万が一建物が全焼した際、建て直すために必要な金額をカバーするために設定します。
- 適正な売却価格の判断: 土地価格と建物価格を切り分けて考える際、建物の残存価値を測る目安になります。
2. 再調達価格を構成する「構造別単価」
再調達価格は、建物の「構造」によって大まかな平米単価が決まっています。これは国税庁が発表する統計データや、各金融機関が独自に設定する基準に基づきます。
| 構造の種類 | 一般的な平米単価(目安) | 坪単価換算(目安) | 法定耐用年数 |
|---|---|---|---|
| 木造 (W) | 15万円 ~ 17万円 | 約50万円 ~ 56万円 | 22年 |
| 軽量鉄骨造 (S) | 16万円 ~ 18万円 | 約53万円 ~ 60万円 | 27年(厚さ3~4mm) |
| 重量鉄骨造 (S) | 18万円 ~ 22万円 | 約60万円 ~ 73万円 | 34年 |
| 鉄筋コンクリート造 (RC) | 20万円 ~ 25万円 | 約66万円 ~ 83万円 | 47年 |
※上記単価はあくまで一般的な目安であり、近年の建築資材高騰により上昇傾向にあります。
3. 再調達価格から「積算価格」を算出する流れ
再調達価格を把握したら、次に必要なのが「現在の建物価値(積算価格)」の算出です。建物は築年数が経過するごとに劣化するため、再調達価格から経過年数分を差し引く(減価修正)必要があります。
延床面積(㎡) × 構造別単価
(耐用年数 – 築年数) ÷ 耐用年数
STEP 1 × STEP 2
計算例:築15年の木造住宅(延床100㎡)の場合
単価を16万円と仮定すると:
- 再調達価格:100㎡ × 16万円 = 1,600万円
- 残存率:(22年 – 15年) ÷ 22年 = 約31.8%
- 現在の建物評価:1,600万円 × 31.8% = 508.8万円
4. 視覚的に見る「構造と価値の減少」
以下のグラフは、再調達価格を100%とした時の、時間の経過に伴う価値(積算評価)の下落イメージです。RC造(鉄筋コンクリート)は耐用年数が長いため、価値が緩やかに減少しますが、木造は急激に減少することがわかります。
【築20年時点での建物評価残存率の比較】
5. 再調達価格を理解するメリット
① 銀行融資の限界値が予測できる
多くの金融機関は「積算評価(土地価格+建物の積算価格)」を担保評価のベースにします。再調達価格から計算した積算評価が販売価格を大きく下回る物件(オーバープライスな物件)は、融資がつきにくく、多額の自己資金を求められる可能性が高まります。
② 保険金額の適正化
火災保険において、再調達価格より低い保険金額を設定していると、万が一の際に家を建て直すことができません(全部保険)。逆に高すぎても無駄な保険料を払うことになります。再調達価格を正しく把握することは、リスクマネジメントの基本です。
③ 資材高騰リスクへの対応
昨今のウッドショックや鋼材高騰により、数年前の再調達価格と現在の再調達価格には乖離が生じています。プロのエージェントは最新の建築単価を反映させて再調達価格を計算し、市場の動きを読み解きます。
6. 知っておきたい「例外」と注意点
再調達価格は非常に便利な指標ですが、万能ではありません。以下の点には注意が必要です。
- 市場価格との乖離: 人気エリアのマンションなどは、建物価値がゼロ(耐用年数超え)であっても、利便性やブランド力から高値で取引されます。再調達価格はあくまで「原価」の視点であり、「収益性」や「希少性」は加味されません。
- 設備や内装の評価: 一般的な計算式では、豪華なキッチンや大理石の床などのオプションは反映されにくい傾向にあります。これらは別途加点評価が必要です。
- リノベーションの扱い: 大規模なリノベーションを行った場合、物理的な耐用年数は延びていても、法的な耐用年数は変わりません。しかし、銀行によっては再調達価格の計算にリノベーション費用の一部を加算してくれるケースもあります。
まとめ:賢い不動産取引のために
「再調達価格」は、不動産という大きな買い物において、私たちに客観的な物差しを与えてくれます。感情やトレンドに流されやすい不動産市場において、この物理的な裏付けを持つ価格を知ることは、大きな武器となります。
投資家であれば「融資の引きやすさ」を判断するために。マイホーム購入者であれば「建物の適正なコスト」を知るために。そして売却を検討されている方であれば「説得力のある価格根拠」を作るために。ぜひこの概念を日々の不動産活動に取り入れてみてください。
プロのエージェントから一言:
再調達価格は時代とともに変化します。特にインフレ局面では、過去の基準単価が通用しなくなることもあります。最新の市場動向に基づいた評価を知りたい方は、いつでもお気軽にご相談ください。
不動産投資のご相談はウェルスターにお任せください。
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購入時だけでなく、運用時、売却時に渡ってトータルにアドバイスいたします。
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