知っておきたい管理会社の選び方のポイント解説

WELLSTAR AGENCY INVESTMENT COLUMN

不動産投資において、物件を購入することはあくまでスタート地点に過ぎません。その後の数十年という長い運用期間において、オーナー様に代わって現場の舵取りを行うのが管理会社です。管理会社の良し悪しは、空室率や修繕費といった目に見える収支だけでなく、将来の売却価格や融資の評価にも大きな影響を及ぼすことがあります。

本記事では、管理会社を選ぶ際に注目すべきポイントを、構造・融資・リスク・税務・出口戦略という5つの重要項目に沿って丁寧に解説していきます。

1. 建物構造に適した管理能力を見極める

不動産には木造、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)など様々な構造があり、それぞれ維持管理のポイントが異なります。管理会社には、所有する物件の構造に応じた適切なメンテナンス計画を提示できる能力が求められます。

構造別管理のチェックポイント

  • 木造・鉄骨造: 外壁のクラック(ひび割れ)や屋根の防水状態、シロアリ対策など、劣化を早期に発見できる体制があるか。
  • RC造: タイル剥離や屋上防水、共用部の給排水設備など、大規模な修繕に向けた長期的な資金計画をサポートしてくれるか。

例えば、木造アパートであれば湿気対策やシロアリ点検の頻度が重要ですし、RC造のマンションであればエレベーターや受水槽といった設備の保守点検が欠かせません。これらを一律の基準で管理するのではなく、物件の特性に合わせた「予防保全」の提案をしてくれる会社かどうかが、建物の寿命を左右することになります。

2. 融資評価と管理会社の関係性

意外に思われるかもしれませんが、管理会社の質は金融機関からの評価にも影響を与えることがあります。融資を受けて物件を拡大していく投資家様にとって、銀行との良好な関係維持は不可欠です。

項目 管理会社が良い場合 管理会社が不適切な場合
稼働率の安定性 リーシング力が強く、高稼働を維持できるため収益評価が上がる。 空室期間が長期化し、返済能力を疑問視される可能性がある。
運営報告書 正確で詳細な月次報告書が提出され、銀行への資料提出がスムーズ。 書類の不備や遅延が多く、経営実態の把握が困難になる。
修繕状況 計画的な修繕により建物の担保価値が維持される。 放置された劣化により、建物の評価が想定以上に下落する。

金融機関は、投資家が「どのように物件を管理しているか」を注視しています。管理会社が作成するマンスリーレポート(月次収支報告書)の精度が高ければ、確定申告や追加融資の審査もスムーズに進みやすくなる傾向にあります。

3. 管理会社選びの具体的な流れ

では、具体的にどのような手順で管理会社を選定すればよいのでしょうか。以下のステップを参考に、慎重に比較検討を進めてみてください。

  1. エリア特性の確認:
    物件所在地の賃貸需要や相場に精通しているかを確認します。地元の仲介ネットワークをどれだけ持っているかが重要です。
  2. 管理形態の選択:
    「自主管理」「委託管理」「サブリース」の中から、自身の投資スタイルに合った形態を選びます。
  3. 業務範囲と費用の比較:
    管理委託料(一般的に家賃の5%前後)に含まれる業務内容を確認します。清掃費や更新事務手数料などが別料金かどうかもチェックポイントです。
  4. 担当者との面談:
    実際に現場を担当するスタッフと対話し、レスポンスの速さや誠実さを確認します。

特にレスポンスの速さは、入居者満足度に直結します。トラブルが発生した際の対応が遅れると、退去のリスクが高まるため、メールや電話の返信速度は必ず確認しておきたい項目です。

4. リスク管理:空室とトラブルへの備え

不動産投資における最大のリスクは「空室」と「家賃滞納」、そして「設備トラブル」です。これらに対して、管理会社がどのような対策を講じているかを確認しましょう。

リーシング(客付け)力

空室が発生した際、自社店舗だけで募集を行うのか、それとも他の仲介業者へ広く情報を公開する(レインズ等への登録)のかで、成約までのスピードが大きく変わります。客付けの窓口を広く持っている会社を選ぶのが賢明です。

滞納督促と保証体制

家賃滞納は経営を圧迫する大きなリスクです。最近では家賃保証会社の利用が一般的ですが、保証会社との連携がスムーズか、万が一の際の明渡し訴訟などの法的手続きに慣れているかも重要な判断基準となります。

リスク管理のチェックリスト

  • 近隣の競合物件と比較した際の、適切な賃料査定を行っているか。
  • 入居審査の基準が明確で、属性や支払い能力を適切に判断しているか。
  • 24時間365日のコールセンター体制があり、緊急時のトラブル対応が可能か。

5. 税務と事務作業の効率化

不動産所得の確定申告を円滑に進めるためには、日々の経理処理が欠かせません。管理会社が提供する収支報告書の形式が、税理士にとって分かりやすいものであるかどうかも大切なポイントです。

多くの管理会社では、家賃収入から管理費、清掃費、修繕費などを差し引いた送金明細を発行してくれます。この明細がデジタル化(PDFやCSV形式)されていると、会計ソフトへの入力が容易になり、オーナー様の事務負担が大幅に軽減されます。また、固定資産税や保険料の支払い時期を考慮したキャッシュフローの相談に乗ってくれるような会社であれば、より安心して運営を任せられるでしょう。

6. 出口戦略を見据えた管理のあり方

不動産投資のゴールは、売却による利益確定(キャピタルゲイン)か、長期保有による家賃収入(インカムゲイン)のいずれかです。どちらの場合でも、「出口(売却)」を意識した管理が求められます。

将来、物件を高く売却するためには、以下の要素が不可欠です。

  • 修繕履歴の整備: いつ、どこを、いくらで直したかの記録が残っていると、買い手の安心感に繋がり、価格交渉が有利に進む傾向があります。
  • 入居者の質: 騒音トラブルやゴミ出しルールの違反が少ない物件は、運営の安定性が評価されます。
  • レントロール(賃借条件一覧表)の適正化: 相場から乖離しすぎない賃料設定で運用されていることが、次なる購入者の融資審査にプラスに働きます。

売却までを見据えて、日頃から建物のコンディションを整え、書類を整理してくれる管理会社は、投資家にとって真のパートナーと言えるかもしれません。

7. 管理会社の切り替え(リプレイス)を検討する場合

現在契約している管理会社に不満を感じている場合、管理会社の切り替えを検討することも一つの選択肢です。ただし、切り替えには慎重な準備が必要です。

  1. 現行契約の確認:
    解約通知期間(通常3ヶ月前など)や違約金の有無を契約書で確認します。
  2. 新管理会社の選定:
    前述のポイントに基づき、複数の候補から自社に最適な会社を選びます。
  3. 入居者への通知:
    振込先の変更など、入居者に混乱が生じないよう、新旧管理会社間で綿密な引き継ぎを依頼します。
  4. 書類・鍵の引き渡し:
    図面、契約書原本、鍵、設備の取扱説明書などを漏れなく回収し、新会社へ渡します。

管理会社の変更は大きな労力を伴いますが、それによって空室が埋まったり、経費が削減されたりすることで、物件の収益性が劇的に改善されるケースも少なくありません。

まとめ:長期的な視点で選ぶパートナー

管理会社選びは、単に「管理料が安い」という理由だけで決めてしまうと、将来的に大きな損失を招く恐れがあります。建物の構造を理解し、融資や税務の側面からもサポートができ、そして出口戦略までを共に見据えてくれる会社こそが、投資家様にとっての理想的なパートナーと言えるでしょう。

管理会社選びの最終チェックポイント

  • 自社の投資目的(短期利益か長期保有か)を理解してくれているか。
  • 担当者とのコミュニケーションがスムーズで、信頼関係を築けそうか。
  • トラブル時にも迅速かつ柔軟に対応できる組織力があるか。
  • データに基づいた客観的なリーシング提案を行っているか。

不動産投資は、購入してからが本当の始まりです。信頼できる管理会社と共に歩むことで、不測のリスクを最小限に抑え、安定した資産形成を目指していきましょう。

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